金廻四間門樋
この前の日曜日、金廻四間門樋(かなまわりしけんもんぴ)を見学してきました。以前ブラタモリで紹介されて以来、ぜひ実物を見てみたいと思い、岐阜県海津市にある海津市歴史民俗資料館を訪れました。金廻四軒門樋とは、明治中期に建造された大型の木造排水施設(逆水留め樋門)の名称です。この地域は、揖斐川、長良川、木曽川が合流するいわゆるゼロメートル地帯で、かつては輪中(わじゅう)と呼ばれた堤防で囲まれた農地が点在していた場所です。ここではしばしば川の水位が土地の高さを越え洪水が起こりました。そのため洪水から土地を守ることと、また平時においては土地の排水が重要課題でした。この樋門は、輪中の排水のための排水路(大江川)が揖斐川に流れ込む合流地点にありました。平時の揖斐川の水位が低いときには、排水路の下流への流れによって扉が開いていて、また揖斐川の水位が土地より高くなると、逆流しようとする水圧により扉が自動で閉まるという仕掛けです。この扉は一方向の流れにしか開かない、いわば心臓の弁のような働きになっています。ちなみに金廻とは旧地名のこと、四間は門の間口が4間の意味、門樋は堤防の下を通る逆流防止付排水路のことです。
金廻四間門樋には面白いエピソードがあります。案内してくれた歴史民俗資料館の方の説明によると、平成7年に揖斐川堤防上の道路から大型車が転落して陥没がおこりボーリング調査したところ木片が発見されます。地元の古老の話によるとこのあたりにかつて堤防の嵩上げ工事の際に埋めたらしい木造の水門があったとのこと。そして発掘調査の結果忘れられていた金廻四間門樋が再発見されたとか。現在は、海津市歴史民俗資料館の隣のある大きなテントの中にオリジナルに近い形で全体の半分ほどが組み上げられ展示されています。見学するには受付で申し出れば1人でも見学可能です(月曜日休館 入館料310円)。